東京都社会福祉協議会のセンター部会ショートステイのあり方検討委員会はこのほど、東京都内で「在宅を支えるショートステイの実践に学ぶ」と題したシンポジウムを開いた。各事業者が先進的な取り組み事例を紹介し、緊急のショートステイの受け入れなどの課題が浮かび上がった。
府中市立特別養護老人ホームあさひ苑次長の野尻俊介氏は、2床の空床を利用して緊急のショートステイを受け入れていると紹介。受け入れが可能な要件として、「主介護者の病気、けが、入院などで在宅での介護が困難な場合」や「独居の高齢者が状態、環境などの変化により一時的に保護を必要とした場合」などを挙げ、昨年4月-今年2月に34件を受け入れたと説明した。このうち、独居高齢者、高齢者のみの世帯がそれぞれ9件あり、「暮らしの単位が小さくなってきているため、介護者が倒れるとほかの方法がなく、緊急での利用になることが増えてきている」と指摘した。
また、緊急ショートステイの利用者には、介護保険の申請をしていない場合などがあるとして、「(介護)保険上のルールだけでは、本当に困っている人を支えることができない部分もある。地域包括支援センターや行政の後押しが不可欠」と訴えた。
品川区立荏原老人短期入所施設ショートステイ室長の島村悦子氏は、フロアに担当職員を1人配置し、張り絵や生け花、おやつ作り、バスハイクなど利用者のためのレクリエーションを実践していると説明。「本人が(最初は)来たくないと思っている時間を、いかに楽しんでもらえるか」が重要になると指摘した。また、30床あるショートステイの稼働を円滑に進めるため、原則的に退所は午前中、入所は午後に行うとしたほか、入退所の際には家族やヘルパーの付き添いを依頼していると述べた。
東村山市の特別養護老人ホーム白十字ホーム相談員ショートステイ担当の伊藤圭氏は、医療ニーズの高い利用者の受け入れ状況などを説明。インスリンや在宅酸素を使用する利用者についてはおおむね受け入れているが、空床を利用することから、入所には併設している特養入所者の状況なども影響するという。医療面については、隣接する同じ法人の病院が協力病院となっており、利用者の緊急時には受診が可能とした一方で、急を要さない場合は家族に対応を依頼すると述べた。
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